大阪大学大学院理学研究科附属基礎理学プロジェクト研究センター大阪大学大学院理学研究科附属基礎理学プロジェクト研究センター

連携・プロジェクト研究部門

最先端計測機器開発
プロジェクト

新たな検出器の技術を用いて新たな計測器を開発

近年、素粒子物理学実験、宇宙観測、質量測定器開発などでは、高い放射線耐性、高い位置分解能、高い検出効率、軽量化、低消費電力など、計測器に対する要求は急速に高度化しています。また、半導体検出器などもどんどん高度化し、新たな検出器技術が生まれています。そうした新たな検出器の技術を用いて新たな計測器を開発します。また、開発した計測器技術を、素粒子実験、宇宙観測、質量分析、化学や生物の分野でのイメージングなど、広く他の分野でも使えるように共有します。

特色 FEATURE

特殊な条件で必要とされる検出器を開発します。

開発で得られた検出器の技術を、分野を超えて共有します。

新たな検出器技術を用い、今までできなかった実験や測定を可能とします。

代表者

山中 卓

研究室HP

成果 RESULTS

研究成果

粒子のエネルギーや入射位置を測定

電磁カロリメータは通常、粒子のエネルギーや入射位置を測定します。2次元の入射位置に加え、粒子が反応した奥行きも測定できる3次元電磁カロリメータを開発しました。これは長さ50 cmのCsI結晶の上流側に半導体の光検出器を取り付け、下流側の光電子増倍管との信号の時間差を用いる、世界で初めての検出器です。これにより、ガンマ線と中性子の識別が可能となりました。また、半導体ピクセル検出器の読み出し制御システムを開発しました。250μm×50μmピクセルのシリコン半導体検出器2cm角に対して、直付ASICによりヒット検出を行います。その読み出し制御を汎用FPGA搭載基板を用いて行うことに成功しました。従来行われてきた特殊基板の開発なしに、半導体ピクセル検出器を運用できます。

J-PARC KOTO実験のために作った、直径2m、長さ3mの円筒形のガンマ線検出器。鉛とシンチレータの積層型で、光は緑色の波長変換ファイバーを用いて読み出される。
J-PARC KOTO実験のために作った、直径2m、長さ3mの円筒形のガンマ線検出器。鉛とシンチレータの積層型で、光は緑色の波長変換ファイバーを用いて読み出される。
今後の発展

ガンマ線と中性子の粒子識別

3次元の電磁カロリメータは、ガンマ線と中性子の粒子識別などに用いることができます。
また、より高精細な50μm角ピクセル検出器に必要となる、5Gbpsデータレートの高速読み出しシステムを開発します。

高い位置分解能を持つ新たな半導体検出器を開発する段階では、他の半導体検出器開発プロジェクトと共同してウェーハーを作る。
高い位置分解能を持つ新たな半導体検出器を開発する段階では、他の半導体検出器開発プロジェクトと共同してウェーハーを作る。