大阪大学大学院理学研究科附属基礎理学プロジェクト研究センター大阪大学大学院理学研究科附属基礎理学プロジェクト研究センター

挑戦的研究部門

革新的超分子材料設計学の
構築と機能創製
に関するプロジェクト

従来の高分子材料では実現できなかった用途への展開を推進

人工・天然を問わず高分子(ソフトマテリアル)は、身近なものから社会基盤インフラに至るまで広く用いられている材料です。近年は機器・機械の高性能化や環境問題への対応のため、より強靭でより長寿命のソフトマテリアルが求められています。
本プロジェクトでは、高分子に分子間相互作用という柔軟な結合を組み込むことで、材料に加わる力や変形を分散させ、破壊されにくい強靭化材料や自然に傷を治す自己修復性材料を開発します。このような材料・素材は、製品の小型化・軽量化につながるほか、信頼性・安全性を飛躍的に向上させることができます。さらに、光や熱などの外部刺激に応答して性質を変化させる機能をソフトマテリアルに付与することで、従来の高分子材料では実現できなかった用途への展開も推進します。

特色 FEATURE

強靭な高分子材料の実現により、製品を軽量化、省エネルギー化できるほか、信頼性、安全性を向上させることができます。

完全な自己修復機能を有する超分子材料を実現することで、高分子製品の寿命を大幅に伸ばすことができます。

刺激に応答して物性を変化させる機能性材料の創成により、エネルギー効率のよいアクチュエーターを実現できます。

代表者

高島 義徳

研究室HP

成果 RESULTS

研究成果

アクチュエーター(人工筋肉)材料を創製

環状分子であるシクロデキストリンは、内部に種々の疎水性分子を包接することができ、この相互作用はホストゲスト相互作用と呼ばれています。高分子鎖にシクロデキストリンと疎水基を導入し、ホストゲスト相互作用による架橋点として利用してソフトマテリアルを作製することで、材料の伸びや破壊に要するエネルギーが向上し、非常に強靭な材料になることを明らかにしました。この高分子鎖の間の架橋点が何度も結合・解離を繰り返すことができる性質を利用して、破壊されても自らの傷を回復する自己修復性材料とすることができました。
また、高分子鎖の間のホストゲスト相互作用の強さは、光や熱等の刺激によって制御することができ、外部刺激に応答して変形するアクチュエーター(人工筋肉)材料を創製しました。

今後の発展

人類社会にとって価値の高い高分子材料の創製

このようにして得られた材料の力学物性と分子構造・運動の関係を明らかにし、その知見を蓄積することで、あらゆるソフトマテリアルを以上のように強靭化・自己修復材料化できるようになるほか、今までの素材や材料にはなかった新しい機能を有したソフトマテリアルを創り出すことができます。本プロジェクトでは、新たな分子構造をもつ材料の開発を進め、新規機能の開拓や他材料との複合化などを推進し、人類社会にとって価値の高い高分子材料の創製を目指します。