研究内容

研究内容

質量分析とは

質量分析とは,イオンの質量電荷比(質量を価数で割ったもの)と,その存在量を測る手法です.NMRやX線回折などの他の分析手法より圧倒的に微量の試料(ピコモル,フェムトモル)でも測定できるという特長があります.最近ではもっと微量でも測定できるという報告もあります.
約100年前にJ. J. Thomsonが放物線型質量分析器を発明して以来の歴史があります.国内では,1930年代後半に当グループの前身である大阪大学理学部物理学科の浅田・緒方らが国内初の質量分析装置を製作したのが始まりです.1950年代ぐらいまでは,原子質量の精密測定が中心でしたが,1960年代以降,有機化合物や生体高分子などをイオン化する方法が開発され,今日では様々な分野で必要不可欠な分析機器のひとつとなっています.

上図に示すように,質量分析は,原子・分子,ナノサイエンス,地球・惑星科学,半導体,化学,生物,薬学,医学,食品化学,環境科学など,ほとんど全ての分野で使われています.特に,近年では,バイオサイエンス分野で,幅広く用いられるようになっています.
質量分析装置は,下図に示すようにイオン源部,質量分離部,検出部からなっています.イオン源で試料を気相に取り出すとともにイオン化し,電磁場中でのイオンの質量による運動の違いを用いて質量分離し,検出器で検出します.イオン化法,質量分離法,検出器には,様々な種類があり.図中に,現在市販されている質量分析装置でよく用いられる手法を一例として示してあります.このように,様々なイオン化法,質量分離法が存在しているのが,質量分析の最大の特長でもあり,また複雑にしているところでもある.様々な試料の測定ができるという特長がある反面,試料に適したイオン化法を選択しなければ,イオンが効率よく生成されず,また適した質量分離法を選択しなければ,目的にあった分析を行うことができません.

質量分析グループでは何を研究しているの?

質量分析グループでは,物理学をベースとして,独創的/最先端な質量分析装置の開発と,それらを用いた応用研究を行っています.以下の質量分析の年表に詳細な研究室の歴史を示していますが,質量分析グループは,日本初の質量分析計を1930年代後半に開発して以来の歴史があります.1950~60年代は原子質量の精密測定,70年代からは有機化合物の測定,80年代からは生体高分子やクラスターの測定などに適した装置の開発と研究を行ってきました.90年代後半からは,惑星探査などに用いることができるような小型・高性能質量分析装置の開発を行ってきました.最近では,小型・高分解能のマルチターン飛行時間型質量分析計や,イメージング質量分析計の開発を行っています.

マルチターン飛行時間型質量分析計とは

マルチターン飛行時間型質量分析計については「こちら」に詳しい説明があります.

質量分析グループの現在の研究テーマ

MULTUMを核にした分野横断型融合研究(学際研究)

  • マルチターン飛行時間型質量分析計の改良
  • 土壌からの温室効果ガスの連続モニター(北大農学研究院波多野らとの共同研究)
  • 歯周病診断と病態解析(阪大歯学研究科村上らとの共同研究)
  • PM2.5原因物質の探求(紀本電子,清華大学との共同研究)
  • 地震・火山噴火などの地殻変動による希ガス同位体比の変動(東大角野研との共同研究)
  • 月・火星・トロヤ群探査など(宇宙研などとの共同研究)

自走式麻薬探知犬の開発

イメージング質量分析技術(質量顕微鏡)の開発

  • 投影型装置の開発(生命機能上田研,阪大工粟津研,KEK新井研などとの共同研究)
  • 隕石,はやぶさ試料などの分析・装置開発(寺田研,JAXAなどとの共同研究)

新しいイオン化法やイオントラップ技術,孤立系イオン物理

  • 解離技術などの質量分析の周辺技術の開発
  • イオン化技術の開発
  • 検出器の開発(浜松ホトニクスとの共同研究)
  • 「光×質量分析プロジェクト」

イオン軌道シミュレーション(イオン光学)

新しい質量分析装置の開発

企業との共同研究

複数の大学の研究者と複数企業のコンソーシアム
日本電子YOKOGUSHI協働研究所,MSI.TOKYO,浜松ホトニクス,紀本電子,旭硝子,アキリス,京大,関大,九大,東大,愛媛大,鳥取環境大などが参画